vol.654【実践コラム】自社の資金調達力を知ることの重要性

…銀行融資プランナーをご活用ください。
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広
中小企業経営者として、自社の資金調達力がどれぐらいあるのか、正確に把握している人は少ないと思います。実際、以下のような疑問を抱いている経営者は多いでしょう。
- 当社は融資を受けられるのだろうか?
- 融資を受けられない理由は何だろうか?
- 最大どれぐらい借りることができるのだろうか?
- どうすれば融資を受けられるようになるのだろうか?
- 次はいつごろ融資を受けられるのだろうか?
周囲を見渡しても、これらの質問に具体的な根拠を示して答えてくれる人は少ないです。最も正確に答えられるのは、金融機関の決裁担当者ですが、彼らは原則としてこの手の質問には答えません。結果として、憶測や不確かな情報が広がることがあります。
■ 融資審査の基本的な考え方
実際には、金融機関の決裁担当者は、特定の基本的な考え方に基づいて与信判断を行っています。個別の事情やタイミングによって結果が異なることもありますが、「融資審査の基本となる考え方」を知れば、第三者でもある程度質問に答えることが可能になります。
ただし、残念ながらこの基本的な考え方を親切丁寧に教えてくれる場所は、金融機関の社内研修に限られます。企業側がこの知識を持つことは非常に有益です。資金があっての事業計画であるにも関わらず、自社の資金調達力に見合わない計画を立ててしまい、資金難に陥っている企業も少なくありません。
■ 銀行融資プランナーの役割
自社の資金調達力が分かれば、適切な新規設備投資額が分かりますし、次のファイナンスのタイミングが分かれば、手元資金を新規事業にどのようなペースで投資していけば良いかが分かります。
このため、当銀行融資プランナー協会では「当社は最大どれぐらいの借入が可能ですか?」という質問にお答えできる銀行融資プランナーの育成及び認定を行っています。銀行融資プランナーは、融資審査の基本的な考え方を習得するため、事例を交えた数十時間の研究会を受講した方だけが受けられる認定です。企業側の立場に立って、この分野を体系的・網羅的に学習した方は少ないと思います。
■ 中小企業経営者様へのご提案
中小企業の財務部長の仕事は銀行対応が大半です。銀行の考え方を知らない財務部長では役目を務めることはできません。是非、銀行融資プランナーを活用して、自社の資金調達力を正確に把握し、適切な事業計画を立てていただければと思います。
銀行融資プランナーは、企業が自社の資金調達力を理解し、適切な資金計画を立てるための重要な役割を果たします。
尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)