vol.653【実践コラム】資金繰り表の重要性について

…貴社の財務をより盤石にするために必須のツールです。
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広
財務管理の強化には試算表の作成が不可欠ですが、財務管理は試算表だけでは不十分です。なぜなら、試算表にはキャッシュベースの収支が反映されないという弱点があるためです。
■ 利益管理と資金繰り管理の重要性
企業経営において、赤字であっても即座に倒産するわけではありません。しかし、黒字企業であっても資金が底をつけば倒産のリスクに直面します。この観点から、利益管理以上に資金繰り管理が重要であると言えます。
■ 資金繰り表の重要性
資金繰り管理の要となるのが「資金繰り表」です。これは、毎月の入金額と支出額を項目ごとにまとめた表で、一見単純ですが財務管理に極めて有用です。
多くの経営者の方々は、何らかの形で資金繰り表を作成されているでしょう。しかし、多くの場合、今月や来月といった短期間の資金繰りしか把握できていないのが実情ではないでしょう
か。
■ 短期的な資金繰り計画の限界
短期的な資金繰り計画しか立てていないと、資金不足に気づくのが遅れ、十分な対応時間を確保できません。これでは、経営者として重要な業務を後回しにしてまで資金調達に奔走せざるを得なくなり、場当たり的な財務活動に陥ってしまいます。
■ 年間の資金繰り計画の重要性
計画的な財務活動を行うために、向こう1年間の「資金繰り計画」を作成することをお勧めします。これにより、資金の流れを予測し、資金調達や設備投資の計画を立てることができます。
確かに、1年先の売上を正確に予測することは困難です。しかし、過去1年間の「資金繰り実績」も併せて作成することで、過去の売上動向から将来の傾向を推測することもできます。
■ 財務管理の最終目標
財務管理の最大の目的は「資金を切らさないこと」です。試算表で利益を管理しつつ自社の資金調達力を高め、同時に資金繰り計画を立てて計画的に資金調達や設備投資を行うことで、資金面での不安を解消し、経営に専念できる環境を整えることができます。
尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)