vol.648【お役立ち情報】事業再構築補助金の申請における事業計画について

…事業再構築の定義に合致する事業計画の作成が必須です。

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
社会保険労務士 今西 章

事業再構築補助金の申請にあたっては、事業再構築指針に沿って3年から5年の事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けていることが必須要件となっています。
事業再構築指針が示す事業再構築の定義では、「事業再構築」とは、「新市場進出(新分野展開、業態転換)」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」、「国内回帰」、「地域サプライチェーン維持・強靱化」の6つの類型を指しています。申請するためには、これらのうちいずれかの類型に該当する事業計画を金融機関等や認定支援機関と作成することが必要となります。
事業計画が事業再構築指針における事業再構築の定義に合致していないと判断された場合は不採択となります。
事業再構築の定義を理解した上で事業計画を作成してください。6つの類型のうち「新市場進出(新分野展開、業態転換)」についてみておきましょう。

■新市場進出(新分野展開、業態転換)の定義

新市場進出(新分野展開、業態転換)とは、中小企業等が主たる業種や事業を変更することなく、新たな製品を製造する等により新たな市場に進出することを指します。

■該当要件

新市場進出(新分野展開、業態転換)に該当する事業計画を作成するためには、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高10%要件」の3つの要件を満たす必要があります。

(1)製品等の新規性要件
製品等の新規性要件については次の事項を事業計画に示す必要があります。

  • 過去に製造等をした実績がないこと
    過去に製造等の実績がないものにチャレンジすることを示す必要があります。
  • 定量的に性能や効能が異なること
    製品等の性能や効能が定量的に計測できる場合には、既存製品と比べて、新製品の強度、耐久性、精度、速度、容量等が○%向上する等、違いを定量的に説明する必要があります。

(2)市場の新規性要件
市場の新規性要件を満たすためには、既存事業の対象顧客を明確にした上で、新規事業の対象顧客層が明確に異なることについて、事業計画で説明する必要があります。
既存の製品等の市場の一部のみを対象とするものや、単に商圏が異なるものである場合は、市場の新規性要件を満たしません。

(3)売上高10%要件
3年から5年間の事業計画期間終了後、新たな製品等の売上高が総売上高の10%(または総付加価値額の15%)以上となる計画を策定する必要があります。

事業再構築補助金の申請にあたっては、事業再構築の定義をよく理解して、それぞれの類型が求める要件を満たす事業計画を作成してください。

詳しくは、補助金事務局ホームページからご確認ください。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

今西章(社労士 銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)