vol.627【実践コラム】複数部門、複数アイテムを抱える企業様へ
…資源配分の最適化で競争力を強化しましょう。
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広
複数部門を経営する企業や、複数のアイテムを取り扱う企業にとって、資金や人員等の経営資源をどこに配分するかは、経営者にとって最も重要な判断の一つです。この判断を助けるツールが「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)分析」です。
PPM分析とは、各事業や商品を「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」の4つに分類し、経営資源の最適な配分を検討するためのツールです。
元々は、大企業向けのフレームワークとして開発されましたが、中小企業でも活用できる部分があります。本コラムでは、中小企業におけるPPM分析の具体的な手順を紹介します。
PPM分析を中小企業で実施する具体的な手順は以下の通りです:
- データの収集
- 各部門の売上高や利益率などの財務データを集める
- 市場規模や成長率に関する業界データを調査する
※業界団体の統計や政府の経済指標などを参考に、市場規模を推定します。 - 主要競合他社の情報を収集する
- 市場成長率の算出
- 市場成長率 = (本年度の市場規模 / 前年度の市場規模)ー1
- 各部門が属する市場の成長率を計算する
- 相対的市場シェアの算出
- 相対的市場シェア = 自社シェア / 最大競合他社シェア
- 各部門のシェアを最大手競合と比較して算出する
- PPMマトリクスの作成
- 縦軸に市場成長率、横軸に相対的市場シェアをとったグラフを作成
- 各部門を該当する象限(花形・金のなる木・問題児・負け犬)に配置
- 分析と戦略立案
- 各部門の位置づけを確認し、今後の方向性を検討
- 経営資源の配分や重点施策を決定
- 定期的な見直し
- 半年や1年ごとに分析を更新し、変化を把握
中小企業の場合、厳密な数値にこだわりすぎず、おおよその位置づけを把握することが重要です。また、PPM分析だけでなく、自社の強みや顧客との関係性なども加味して総合的に判断することをおすすめします。
PPM分析を活用して経営戦略を立てたい方、融資資金の効果的な使い方を相談したい方は、ぜひ当事務所にお問い合わせください。
尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)