vol.586【お役立ち情報】キャリアアップ助成金（正社員化コース）について

2023年12月7日 2023年12月6日 GPC-Tax

…正社員と非正規社員の間の賃金の額または計算方法の違いを明確にしてください。

（毎週木曜日配信）財務編
銀行融資プランナー協会財務アドバイザー
社会保険労務士今西章

「キャリアアップ助成金（正社員化コース）」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者等の非正規雇用労働者を正社員等に転換させる取組を支援する助成金で、これまでに多くの事業主が活用していますが、昨年から正社員、非正規社員等の定義が厳に判断されるようになりました。

（１）正社員の定義
正社員に適用される就業規則に、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されていることが必須要件となっています。

（２）有期雇用労働者等の定義
有期または無期雇用労働者が、賃金の額または計算方法が正社員と異なる雇用区分の就業規則等の適用を６か月以上受けていることが要件となっています。

概要をみておきましょう。

（１）有期契約労働者を正社員に転換する制度を労働協約または就業規則に規定していること。

（２）正社員転換日の前日から起算して６か月前の日から１年を経過する日までの間に、事業所において、雇用保険被保険者を解雇等、事業主の都合により離職させた事業主でないこと。

（３）対象となる有期契約労働者の雇用期間が通算６か月以上３年以内であること。

（４）あらかじめ正社員として雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者でないこと。

（５）対象となる有期契約労働者がその事業所の事業主または取締役の３親等以内の親族以外の者であること。

（６）正社員転換前の６か月と転換後の６か月の賃金総額を比較して３％以上増額していること。

※基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金総額で比較しますが、「実費補填であるもの」、「毎月の状況により変動することが見込まれるため実態として労働者の処遇の改善が判断できないもの」、「賞与」は含めません。

それぞれの転換にあたり次の金額で支給されます。
なお、１年度１事業所あたりの支給上限人数は２０人です。
（　　）内は大企業の金額です。

（１）有期雇用労働者から正社員へ転換の場合
５７万円（４２万７，５００円）

（２）無期雇用労働者から正社員へ転換の場合
２８万５，０００円（２１万３，７５０円）

◇加算措置
※（１）から（４）は大企業も同額です。

（１）派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用した場合
２８万５，０００円

（２）母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合
・有期雇用労働者から正社員：９５，０００円
・無期雇用労働者から正社員：４７，５００円

（３）人材開発支援助成金の特定の訓練修了後に正社員へ転換等した場合
・有期雇用労働者から正社員：９５，０００円
・無期雇用労働者から正社員：４７，５００円

（４）自発的・定額制訓練終了後に正社員へ転換した場合
・有期雇用労働者から正社員：１１万円
・無期雇用労働者から正社員：５５，０００円

（５）勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換等した場合
１事業所あたり９５，０００円（７１，２５０円）

今西章（社労士　銀行融資プランナー協会　財務アドバイザー）