vol.563【経営コラム】一流経営者の生活習慣!
…ビジネスは生きる糧か、それ以上か?
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
ある著名な大リーガーの専属トレーナーを長年務めた名コーチに、話を聴く機会がありました。一流選手と二流選手、そして、三流選手の違いについて教えてもらいました。
- 三流選手は、練習中も練習をやり過ごしています。練習後は、当然野球のことを忘れて気楽に生きています。
- 二流選手は、練習には全力で取り組んでいます。ただ、練習後は、あまり野球のことを考えずに過ごしています。
- 一流選手は、練習後のオフも、ずっと野球のことを考えながら生きています。そして、野球を考えることを楽しんでいます。
- 二流選手と三流選手は、オフを本当の休暇だと捉えています。
- 一流選手は、オフを次のシーズンに備えるための期間、休みを次の試合に備えるための時間と捉えています。
- 二流選手と三流選手は、(多分)野球を食うための糧、義務と捉えているように感じました。
- 一流選手は、野球が天職であり、自分に与えられた使命だと考えているように思いました。
最後に、『活躍の度合いは、もちろん持ち合わせた素質の差によるところも小さくないですが、上記のような考え方の差でも大きく変わります。晩成型の選手は、考え方がしっかりしています。他の世界も同じではないでしょうか?』と締めくくられました。
野球選手の一流と二流、そして三流は、そのままビジネスの世界にも当てはまります。
○仕事は食うための糧、義務なのか?それを超えた天職なのか?
- 一流の経営者は、天職発想を持っています。単なる、糧や義務だけではない、これで生きる、これで自分の存在意義を世に問う、こう考えています。
- 二流や三流の経営者は、仕事を稼ぐための糧、義務と考えています。
○業務時間中の仕事に対する取り組みは?
- 二流の経営者も業務時間中は一生懸命に働いています。この部分では一流と同じです。ただ、アフターファイブや週末、長期休暇の過ごし方が一流と異なります。
○休みは何のためにあるのか?
- 一流の経営者は、備えるための期間・時間と考えています。
- 長期の休暇は、普段できない充電(インプット)期間と捉え、『緊急でない重要なことを考える時間』として有効活用しています。
- また、週末などは、遅れの調整や翌週の仕事の事前準備、体調のメンテナンスなどに充てています。もちろん、大人としての社会行事などへの対応や休息も必要になります。
考え方が違えば生活習慣が変わる、一流と二流、そして三流の差は、これが原因です。
○「生きるための糧、義務」と考える二流と三流は、業務時間以外に仕事をしたくない、仕事を頭から完全に遮断した生活を送ろうとします。
○「生きるための糧、義務」+「天職を通じて自分の存在意義を世に問う」と考える一流は、常に天職を考えながら時を過ごします。
この生活習慣の差が、長い時間を経て、雲泥の実力の差を生み出します。
不透明な時代が続きます。
生産性が伸びず(横這い)、労働人口が減少し続けた30年、労働参加率の向上で総就業時間を維持できたからGDPを550兆円で維持できた日本です。失われた30年と言うよりは、踏みとどまった30年と呼ぶ方が適切だと思います。
今後は、先進国中最高レベルの労働参加率にある日本にとって、労働人口の減少を補う方法は生産性の向上しかありません。楽観視できる状況ではありません。
ビジネスで勝つためには、一流、せめて一流半の生活習慣を身に付けたいものです。ビジネスは天職であるはずです。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)