vol.539【実践コラム】融資を受ける金融機関選びのポイント

…企業規模にあった金融機関を選びましょう。

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広

起業してこれから融資を受けようと考えている方はもちろん、経営経験の長い経営者様であっても、お付き合いする銀行をどのような観点で選べばよいか分からない方も多いと思います。

金融機関の力を最大限活用するためには、ご自身に合った金融機関を選んだ方が有利ですので、まずは、金融機関の種類や特性を見ていきましょう。

■ 金融機関は大きく次の5種類に大別できます。

◆政府系金融機関

最も有名な政府系金融機関は日本政策金融公庫です。預金取引は行わない融資取引のみの金融機関で、信用力が低い創業時からお付き合いできる数少ない金融機関です。企業規模に関わらず、事業資金の融資相談に乗ってもらえます。あまり知られていませんが、日本政策金融公庫は国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業の3つに分かれており、これにより数百万円の創業融資から数億円規模の事業融資まで幅広く対応しています。

◆メガバンク

明確な定義はありませんが、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3行を3大メガバンク、りそな銀行を加えた4行を4大メガバンクと表現することが多いようです。規模が大きく全国に支店があるため、口座を持っているという方も多いとは思いますが、事業資金のプロパー融資取引となると、規模の小さな中小企業にとっては、少し敷居の高い金融機関です。

◆地方銀行

各都道府県に本店があり、地域経済の発展に尽力している金融機関です。地域経済に大きな影響力を有する企業や地場産業を営んでいる企業を中心として、主に地域の中小企業向けに融資取引を行っています。メガバンクとは違った役割を担っていますが、「銀行」ですので、審査の傾向はメガバンクと似ています。

◆信用金庫・信用組合

地域経済の発展に尽力している点においては地方銀行と同じですが、地方銀行よりも、さらに地域の細部に根付いています。経営形態も銀行とは違い、企業が出資者となって相互扶助を目的とする協同組織型の金融機関です。よって、まず出資をして会員とならなければ融資取引をしてもらえません。小規模の事業者にとっては身近な存在です。

◆ノンバンク

預金の受け入れは行わず、融資取引のみを行う金融機関をノンバンクと言います。信販系やリース系の金融機関もノンバンクに分類されます。金利は高いものの手軽に利用できるメリットがあります。

例えば、貴社が年商3千万円の小規模企業であれば、メガバンクとお付き合いをしても積極的な提案は受けられないかもしれません。メガバンクの主たる取引先は大企業になりますので、小さな会社の対応は手薄になりがちです。

あくまでもイメージですが、創業~年商3億円程度までは日本政策金融公庫国民生活事業及び信金信組をメインとし、年商3億円を超えたあたりで地方銀行や日本政策金融公庫中小企業事業にチャレンジ、年商が10億円を超えたあたりでメガバンクにチャレンジするのが理想だと感じます。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)