vol.531【経営コラム】大きな会社ではなく、良い会社にしましょう!
…規模ではなく、価値の高い会社を!
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
労働人口の減少を労働参加率の向上で補ってきた30年でした。日本はGDPを伸ばせなかったといわれますが、何とか落とさずに守り切ったと考えることもできます。今後は、さらに労働人口が減少し、上限に近い労働参加率の向上は期待できず、GDPが減少する縮小局面に突入します。多分そうなります。
中小企業経営者は、全体では伸びない市場の中で、如何にして存在意義を持つことができるかがカギです。自社の本当の強みを活かして伸ばす、それ以外は切り捨てる経営が必要になりそうです。とりわけ、昭和の遺産である規模を追求する経営を止めて、価値=質を求める経営に移行してください。
規模ではなく、価値=質を求める経営に移行して、企業の価値向上を図りましょう。
◆1.売上至上主義発想を止める
- 売上の大きさではなく利益の大きさが重要
- 同じ利益なら、売上は小さいほうが良い
売上には高品質な売上と安物の売上があります。企業価値は売上の純度に相関します。売上の純度が高い企業ほど、その企業価値は高くなります。売上の純度を高める経営、純度の低い売上を取り除く経営を行ってください。企業価値が向上します。
◆2.売り切りから継続販売、継続的なサービス提供へ!
- 所有から利用へ、顧客ニーズは変わってきた
- 一過性の売上より、継続する売上の方が良い
顧客ニーズは、所有から利用へと変わってきました。経営的にも、売切りの一過性の売上よりも、継続的な売上の方が安定します。また、継続的に利用してもらうためには、商品やサービスに進化・発展が求められます。継続的な集金モデルを有する企業には、それに相当する企業価値が与えられます。
◆3.持たざる経営への移行!
- 総資産の大きさではなく純資産の大きさが重要
- 同じ利益なら、従業員は少ない方が良い
- 同じ費用総額なら、固定費は小さく、変動費が大きい方が良い
資産には価値ある資産とそうでない資産があります。企業価値は資産の純度に相関します。資産の純度が高い企業ほど、その企業価値は高くなります。資産の純度を高める経営、純度の低い資産を持たない経営を行ってください。企業価値が向上します。
◆4.良い事業立地を選定する!
- どこにでもある事業ではなく、レアな事業を行う方が良い
- 飽和した成熟市場を攻めるより、成長性のある市場の方が良い
- 相対的優位に立てる市場が面白い
事業は、いかに上手に運営するか(マネージメント)の前に、どんな事業をするか(事業立地の選定)が重要です。取り組む事業を間違えたら、経営の成果、企業の価値向上は限定的です。
企業価値を高くとるためには、事業立地の選定が重要です。
企業の規模ではなく、企業の価値に重点を置いた経営に移行しませんか。そのためにも、事業計画書を作って、又は、作り直してみませんか。今から作る事業計画書は、【規模拡大を目指す計画書】ではなく、【企業価値を向上させる計画書】にしてください。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)