vol.521【実践コラム】コロナ融資について
…今後の返済計画をシミュレーションしましょう。
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広
多くの企業様がコロナ関連融資を利用していますが、そろそろ返済が始まる時期だと思います。コロナ関連融資は特殊な融資であり、返済能力をある程度無視して実施されたため、返済に不安を感じている企業様も多いのではないでしょうか。
ケース別に対処方法を考えてみます。
■念のため借入したが実際には使わずに済んだ企業様
有事に対応するためコロナ融資を受けたものの、実際はコロナの影響を受けずに済んだ企業様は、借りた資金がそのまま銀行口座に残っているはずです。利息が発生する前に一括返済するのも良いのですが、コロナ融資はおそらく2度と受けられない融資です。利息を払ってでも手元に置いておき、有事の備えや新規事業に充てるのも一つの考え方です。
■総借入額の10分の1以上のCFが出ている企業様
決算書上の純利益と減価償却費を合わせた金額をキャッシュフロー(CF)と言います。企業の返済能力を示しています。コロナ融資を含めた総借入額が3,000万円として、その10分の1(300万円)以上のCFが出ている場合は、新規借入や借換を計画的に行い、年間の返済額を調整しながら借入を減らしていくのが基本線です。
■総借入額の10分の1以上のCFが出ていない企業様
自社の返済能力とくらべて、借入過多に陥っている状態です。業績の改善によりCFを増やすことが最善ですが、簡単にできることではありません。早い段階でリスケジュールを依頼し、支出を止めることを検討しましょう。誰しもリスケを行うのは気が進みませんが、この判断が遅れると取り返しのつかない状況に陥ります。
自社の収入(キャッシュフロー)、現預金資産と借入残高のバランスを見て、今のうちから対処方法を検討しておきましょう。
対処方法が良く分からないという場合は、是非、早めにご相談ください。
尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)