vol.444【実践コラム】案件構築について
…違和感のないストーリーに仕上がっているかをご確認ください。
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広
資金調達を成功させるためには、融資申し込み時に、「お金が必要な理由」「お金を借りた後の姿」「返済が可能な理由」を明確にし、一貫したストーリーに仕上げておく必要があります。
これを案件構築といいます。
■第1章:自己紹介
ストーリーの始まりは自己紹介です。どのような思いや目標を持って取り組んでいるのか。今までの実績はどうだったか。現状はどうなのか。といった内容をまとめます。
■第2章:資金の使い道
第1章で説明したこんな私が、次に何をしようとしているのか。そして、その取り組みにはどれぐらいのお金が必要になるのか。といった内容をまとめます。具体的には、「新店舗を出店したい。」「仕入を増やしたい。」「人員を増加したい。」といった内容です。
■第3章:今後の姿
第2章で説明した取り組みを行った結果、今後はどのような姿になるのかをまとめます。具体的には、売上、利益、資金繰り等が、現状と比較してどのように変化するのかを明確にします。
■第4章:返済が可能な理由
返済が可能な理由を、第3章で示した売上増加予定額、利益増加予定額を用いて明確にします。
小説ではありませんので、融資申し込み時のストーリーに奇想天外な展開は必要ありません。誰が読んでも違和感のないストーリーが求められます。
よくお見受けする奇想天外なストーリーとは、私は建築屋ですと自己紹介しておきながら、第2章でラーメン店を出店したいとなっていたり、ラーメン店を出店したいと言いながら、融資申し込み金額が一般のラーメン店の投資額よりはるかに大きかったりします。
建築屋さんがラーメン店をやってはいけないと言っているのではありません。建築屋さんがラーメン店をやろうと考えるに至ったストーリー、普通のラーメン店よりも大きな投資をしようと考えるに至ったストーリーをしっかりと構築しなくてはならない、という意味です。
融資申し込みを検討している経営者様は、上記の流れに沿って案件説明をした場合、違和感のないストーリーに仕上がっているかをご確認ください。
尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)