vol.415【実践コラム】自社の資金調達力を知る
…資金調達のロードマップを作成しましょう。
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広
どこに給油ポイントがあるか分からないことが経営を困難にしています。ガソリンがどれぐらい持つか分からない、どこに給油ポイントがあり、給油ポイントがあったとしてどれぐらい給油できるかも分からない、という条件で目的地に辿り着くのは至難の業です。経営とはそれ程困難な挑戦だと感じます。
目的地に辿り着ける経営者とそうでない経営者の最大の違いは、言うまでもなく給油(借入)に頼らない自家発電力(利益)をより多く有しているか否かです。しかし、一切の給油(借入)を行わずに事業を大きく成長させられることは稀です。そうであれば、自社が、「いつ」、「どのような状態であれば」、「どれぐらいの資金調達ができるか」を知っている方が断然有利です。
最初の借入可能なポイントは創業時です。創業時の資金調達は自己資金の2~3倍、かつ2,000万円未満が目安です。よって、創業までにどれぐらい自己資金を貯めることができるかで資金調達力が変わります。
次の借入可能なポイントは1期目ないし2期目の決算が終わった時点、かつ黒字を確保できたタイミングです。裏を返せば創業から黒字化までの間に借入可能なポイントはありません。創業融資で調達した資金で黒字化できなければ、新たな融資を受けられず、事業継続を断念することになります。創業3年以内に7割の方が事業継続を断念していると言われますが、創業後の給油ポイントを知らずにアクセルを踏み込みすぎたことが要因のひとつだと推測できます。事業を3年以上継続できるかどうかの最大のポイントは、2回目の資金調達を成功させられるかどうかです。
3回目以降は売上と利益の成長に合わせて資金調達可能な金額が決まります。よって、基本的には赤字の場合は資金調達が困難になります。先行投資をしなければ事業を成長させることはできませんが、先行投資をし過ぎると赤字になり資金調達ができなくなります。そのバランスを取りながら経営のかじを上手く取ることができるかがポイントです。大変高度な経営センスを要求されます。
ある日突然資金が不足するという事態に陥らないため、経営の目的地に辿り着くまでの間、どこでどれぐらいの資金調達を行うかを書き記したロードマップを作成してはいかがでしょうか。
そのためには、自社がどのタイミングでどれぐらいの資金調達を行えるかを知ることから始めなくてはなりません。
是非ご相談ください。
尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)