vol.405【実践コラム】第2次補正予算案について
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広
…新たに資本性資金供給支援が盛り込まれました。
新型コロナウイルス感染拡大を受け、先日2020年度第2次補正予算案が閣議決定されました。資金繰り対策のひとつとして、新たに資本性資金供給・資本増強支援が盛り込まれています。
現在、日本政策金融公庫や保証付き融資等により相当数の融資が実施されていますが、借入が膨らみ過ぎた結果、財務内容が悪化し、今後の資金調達が困難になる企業が増えることが予想されます。
この様な事態に対処するため、金融機関が資本とみなすことができる長期一括償還の資本性劣後ローンを、日本政策金融公庫や商工中金を通じて中小企業に提供する施策です。
資本性劣後ローンとは、実際には借入ですが、融資審査上、金融機関は借入ではなく資本とみなすことができます。例えば債務超過に陥っている企業でも、債務超過額を上回る資本性劣後ローンを受けることができれば、民間金融機関は債務超過でないものとして融資を検討できるようになります。
具体的な貸付条件は下記となります。
・貸付限度額:7億2000万円(別枠)
・貸付期間:5年1カ月、10年、20年(期限一括償還)
・貸付金利:当初3年間一律0.5%、4年目以降、直近決算の業績が赤字の場合は0.5%、黒字の場合は2.6%または2.95%
資本性劣後ローン自体は数年前から既に日本政策金融公庫等で取り扱われています。しかし、現在の資本性劣後ローンは敷居が高く、利用出来ている企業はまだまだ少数です。
今回のものは、コロナ対策を目的とした別枠の融資であるため、従来とは違う、実際に利用しやすいものであることを願いますが、現時点ではまだはっきりしません。実例が出たら続報にて報告します。
尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)