vol.400【実践コラム】リスケの決断
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広
…決断が遅れると命取りになります
新型コロナウィルス感染症による経済への影響が計り知れません。現状が続けば、全く無傷で切り抜けられる企業は皆無のように感じます。
借入は将来の利益を先に現金化しているものですので、経営が上手く行っているときにはてこの原理で資金を膨らませることができます。しかし、赤字に転落してしまうと、逆にその返済負担が資金繰りを大きく圧迫します。
資金繰りが厳しいと感じた時、第一に取る行動は新たな資金調達です。新たな資金調達ができなかった場合、もしくは資金調達が十分でない場合は、リスケを検討することになります。リスケの決断は大変難しいと思いますが、本当に必要な状況であれば決断は早ければ早い方が効果的です。
リスケは資金が十分にある状況では申し込めないと考えている経営者が多くいらっしゃいます。誤った認識です。確かに手持ち資金が多いと銀行はリスケを渋る傾向にあります。しかし、資金が枯渇したタイミングでリスケをしても、その効果を得ることは出来ません。何としても早いタイミングでリスケに応じてもらう努力が必要です。
早い段階で金融機関にリスケに応じてもらうためには、資金繰り計画表の作成が必須です。資金繰り計画表がなければ、資金状況がどのように推移するか分からず、現在の銀行口座残高だけを見て、「今すぐにリスケは不要では?」となるためです。
資金繰り計画表で数か月後の資金状況を理解してもらう必要があります。
リスケの決断は簡単ではありませんが、決断が遅れると命取りになります。まずは固定費の削減努力をしたうえで、それでも1年以内に資金が枯渇する可能性が大きいならば、リスケも視野に入れざるを得ません。
先行きはまだまだ不透明です。有事に頼りになるのはやはりキャッシュですので、手元キャッシュを減らさない努力が必要です。
尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)