vol.380【お役立ち情報】労働関係助成金の生産性要件について

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
社会保険労務士 今西章


…勘定科目の設定等によって要件を満たす場合があります

キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、両立支援等助成金など多くの労働関係助成金では『生産性要件』を満たしている場合に助成金額又は助成率が割増になります。
『生産性要件』とは、助成金の支給申請等を行う直近の会計年度における「生産性」が、3年度前に比べて6%以上伸びていることが主な要件ですが、営業利益が減少しているから要件に該当しない」と諦めている事業主の方が結構おられます。
しかし、『生産性要件』は厚生労働省が作成した「生産性要件算定シート」に、損益計算書や総勘定元帳から対象となる費用の金額を転記して算定しますので、単純に営業利益だけでは比較できません。
「生産性」の計算方法とポイントをみておきましょう。

■「生産性」の計算方法
「生産性」は、付加価値(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数で計算します。
計算にあたっては、厚生労働省が作成した「生産性要件算定シート」に、損益計算書や総勘定元帳から対象となる費用の金額を転記して算定します。

■ポイント
(1)人件費には従業員の給与の他に「通勤費」も対象になりますが、「旅費交通費」は対象になりません。「通勤費」を「旅費交通費」に含めて計上している場合は「通勤費」を別にして計上することで要件を満たす場合があります。
(2)人件費には従業員研修の費用としての「研修費」や「教育訓練費」も対象になります。これらの費用を別の科目に含めて計上している場合は科目の見直しによって要件を満たす場合があります。
(3)人件費には従業員の「退職金」も対象になりますが、損益計算上の「特別損失」等に計上している場合は対象になりません。「販売費および一般管理費」に計上することで要件を満たす場合があります。
(4)「生産性」は付加価値を決算日時点の雇用保険被保険者数で割って算出するため、対象人数を正確に把握することが大切です。

「生産性要件算定シート」の記入例等を参考にして、事前に勘定科目の見直しを相談し、助成金の割増措置の活用をご検討ください。

詳しくは、厚生労働省のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137393.html

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今西章(社労士 銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)