vol.260【経営コラム】忙しい?を数字で検証する!
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
…「144時間」「176時間」この数字が何か考えてください。
■忙しいとは?時間がないとは?
この言葉にどのような意味があるのかわからなくなる数字です。
◆「144時間」「176時間」
この数字が何か考えてください。
○前者は5月の定時間内就業時間です。(土日と5月1日・2日を休みとした時)
○後者は6月の定時間内就業時間です。(土日を休みとした時)
※平成29年度カレンダーより。
144時間を100とすると、176時間は122になります。実に22%も就業できる時間が違います。(業務量を同じとした時…)
5月度の残業時間を32時間とするなら、6月度は残業無しです。
5月度の残業時間を0時間とするなら、6月度は32時間時間が余ります。
5月と6月の差をどう埋めているのでしょうか?
◆「10,000時間」「80時間」この数字が何か考えてください。
○前者は勤続4年~5年の社員の累積勤務時間です。
○後者は2週間の勤務時間(定時内)です。
仕事が遅れている社員と、先手を打てている社員の仕事の進捗の時間差は、せいぜい2週間です。4年~5年の社員にあてはめると、その差は0.1%以内です。
なぜ0.1%分、2週間仕事を先行してできないのでしょうか?
■労働時間の短縮には、定休日を作ることが最善です。
◆「365日」「12日」この数字が何か考えてください。
○前者は年中無休の営業体制を指します。
○後者は月一回の定休日を指します。
月一回の定休日を設けるだけで、3.3%営業時間(就業時間)を短縮できます。
◆「365日」「52日」この数字が何か考えてください。
○前者は年中無休の営業体制を指します。
○後者は週一回の定休日を指します。
週一回の定休日を設けることができれば、14.2%営業時間(就業時間)を短縮できます。
隔週の定休日を設けるだけでも、7.1%営業時間(就業時間)を短縮できます。
■給料が安いのか?高いのか?相対的に考えるための数字です。
◆「1,500円」「250,000円」この数字が何かを考えてください。
○前者はアルバイトの時給1,500円を指します。
○後者は約167時間(1か月定時就業時間)働いた時の月給です。
月給25万円は払えても、アルバイトに時給1,500円を提示できない中小企業は少なくありません。どうしてでしょうか?
◆「2~3倍」「3倍~無限大」この数字が何かを考えてください。
○前者は同年代の一般社員と部長クラス(最上級管理職)の年収の差(諸説ありますが)です。
○後者は同年代(40~50歳)の能力の差です。比較的単純な業務のスピード差は3倍以上、そのできる業務の範囲の違いは、できるかできないか、無限大の差がついています。
報酬にもっと差をつけるべきなのでしょうか?悩ましい事柄です。
■値上げと値引きについて考えるための数字です。
◆「3%」値上げの時、「3%」売れ個数減でも売上は現状維持、かつ「1.5%」増益です。
◆「3%」値下げの時、「3%」売れ個数増で売上は現状維持、一方「1.5%」減益です。
※共に原価率は50%とし、販管費は固定費と考えた時。
値下げ・安売りの選択肢がいかに利益を圧迫するか?よく考えてください。
■継続がいかに重要か?を示す数字です。
◆「3年」「10,000時間」この数字が何かを考えてください。
○前者は「石の上にも3年」(ことわざ)
○後者は「10,000時間の法則」(マルコム・グラドウェル氏)共に物事を一定以上習得するために要する時間の目安を指します。貴社は新しいテーマに対して3年間継続して取り組めているでしょうか?中途半端は何一つ身に付かないようです。
※詭弁との批判を恐れずに書いています。各自ご判断ください。
※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 一般社団法人銀行融資プランナー協会代表理事)