vol.133【実践コラム】より正確な経営判断をするために

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広


…歴史的に見ても名経営者は優秀な財務部長を有しています

事業には先行投資が必要です。
売上を上げるために商品を開発したり、営業マンを雇用したり、広告宣伝を行ったりしなければなりません。
総じて、先行投資の額が大きければ大きいほど、大きなリターンを期待できます。

しかし、先行投資は利益を圧迫し、財務に悪い影響を与えます。
財務内容が大きく崩れると倒産に繋がりますので、財務の健全性を維持しながら先行投資を行わなくてはなりません。
事業を前に攻めることと、財務の健全性を維持することは短期的に相反関係にあります。

・お客様に喜んでもらえるよう豪華な店舗を作った。
・他が導入していない高額な機械を導入した。
・市場を一気に攻めるため多くの営業マンを雇用した。
・希少価値の高い商品を大量に買い付けした。

事業拡大を目指す経営者としては当然の行為です。
上手く行けば大きな利益を得て「名経営者」となりますが、上手く行かなかった場合は「過大投資」です。

先行投資をどの程度行うか=財務内容をどの程度崩すか、という程度加減の判断を誤ると苦境に陥ります。需要に合わせてどの程度の先行投資を行うかという商売の勘に加えて、財務に関する専門的な知識があれば、事業はより上手く行きます。
歴史的に見ても、名経営者の横には必ず優秀な財務部長がいました。

もちろん、財務に力を入れればそれだけで会社が良くなる訳ではありません。
財務はあくまでも事業を補完するものです。
しかし、財務で防ぐことが出来た倒産事例は多くありますし、
財務で事業を大きく伸ばした事例も多く見られます。

「この投資は儲かる。」というのは経営者の勘です。
次に「投資に失敗しても許容範囲なのはどのラインか。」という判断は財務的な見方が役に立ちます。
ご自身の経営判断をより正確なものとするために、是非、財務のパートナーを持つことをおすすめします。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)