vol.118【経営コラム】ツキを探してツキを追い回す経営を!
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
…ツキは経営の道しるべです。
■ツキについて考えてみましょう。
ツキと上手に付き合うことは経営にとって大変重要なことです。
例えが少々不謹慎かもしれませんが、学生時代にかなりはまっていたマージャンを思い出します。
マージャンには二つの鉄則があります。
○マージャンは確率論です。
可能な限り自分の手が揃いやすいように牌を集めるとともに、可能な限り捨てた牌が相手に当たらないように捨てる、この二つのこと(矛盾)を、確率を考えながら随時進めることが基本です。
○ツキを考えて打ち方を変える。
不思議なもので、ツキはメンバーの四人をぐるぐる回っています。
このツキが来たときに攻めて、ツキが無いときは引く、具体的に言うと、前者のときには自分の手作りを優先します。一方、ツキの無いときは相手に振り込まないことを優先します。
この加減、ツキの見極めが重要です。
確率論に沿った打ち方が出来ない人は勝てません。確率論という基本を知らないこと、言い換えるとミスを多発しているわけですから、ツキも回ってきません。確率論に沿って打つための訓練が必要です。
また、ツキが来ているときにミスをすると、不思議とツキは逃げていきます。
不思議ですが事実です。
確率論が理解できていても、熱くなってツキの来ていないときに攻める人も勝てません。
我慢できないからです。流れが読めないからでしょう。
『基本に忠実に胆力を維持しながら丁寧に一手一手打ち続ける。ツキが無いときは無理をしないで他人の勝ちを容認する。(無理して勝ちを狙わない。)ツキが来たら基本を厳守しながらも強気に攻める。』
経営も同じです。
■ツキと上手に付き合うことは経営にとって大変重要なことです。
100品種の商品を扱う小売店があるとします。この店の売上が昨年対比で90%とします。
この店は全体では売上を10%落としていますが、100品種の商品を一品毎見ていくと、必ず伸びている商品があります。この伸びている商品がツキのある商品です。
厳密に分類すると、伸びている(ツキのある)商品群、落ちている商品群、どちらでもない商品群、この三つに分かれます。
伸びている(ツキのある)商品群を更に伸ばすことが売上アップのポイントです。
そのためには、落ちている商品をはずすことが必要です。
『伸びている(ツキのある)商品群を伸ばすことに躍起になって、落ちている商品群をはずすことを忘れがちです。まずははずしてみましょう。不要な商品群をはずすことで、伸びている(ツキのある)商品群が羽を伸ばしてその力を発揮してくれます。はずすことからはじめましょう。』
■何もかも、可能な限り多くを手に入れようとする考え方は、今後のビジネスにおいては難しいようです。
・得手、不得手があります。
・好き、嫌いがあります。
・向き、不向きがあります。
・理由のある分野、関連の薄い分野があります。
・伸びているもの、そうでないものがあります。
『後者に多くのエネルギーを掛けすぎています。前者に回るそれが少なくなっています。
後者が多すぎて、前者との区別が付きにくくなっています。後者が前者を邪魔しています。』
■ツキについてまとめてみます。
ツキは経営の道しるべです。常にツキの存在を意識し、徹底的に付き合っていく心構えが重要です。
ツキは身の回りにたくさん存在します。それらを見つけることが経営者の仕事です。
・経営指標をよく検証しましょう。ツキを探し出してください。
・現場をよく見てみましょう。ツキを探してください。
・従業員の話をよく聞いてみましょう。ツキを探してください。
・取引先の意見も聞いてみましょう。ツキを探してください。
・さらに、世の中を見まわしてみましょう。ツキを探してください。
『ツキを見つけたら、そのツキに沿って経営の舵を切ってください。
そのツキを追い回してください。成功者はこれをやっています。
容易ではありませんが意識してください。きっと上手くいきます。』
ツキを探して、ツキと付き合う、ご再考ください。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 一般社団法人銀行融資プランナー協会代表理事)