vol.112【経営コラム】創業時の事業計画書の注意点!
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
…成功確率の高い道を歩んでください。
45歳の創業予定者様からのご相談です。自己資金200万円、創業融資希望額200万円、創業補助金希望額200万円、創業補助金の使途は主にWEB開発とWEBプロモーションです。
WEB開発とプロモーション投資で300万円を予定しています。立派な?事業計画書も持参されました。
・WEB受注で初年度年商1,500万円、利益100万円。
・人を増やしながら3年後には年商6,000万円、利益500万円。
細かい与件もびっしり書かれた緻密な計画書です。
●(相談者)『社員教育のコンサルタントを始めます。私は、某大企業で教育担当をしていました。
新入社員から幹部候補生まで、幅広く対応できます。実績をあげてきました。コンテンツもたくさん持っています。ホームページを立ち上げて受注します。』
○(私)『前職ルートでの受注は期待できますか?』
●(相談者)『前職のルートは使いたくないので、自前(WEB)で受注します。』
○(私)『教育と言うテーマは広いですが、教育の中では何が得意ですか?』
●(相談者)『特に限定したくありません。教育全般に自信があります。』
○(私)『営業対象はどんな先を想定していますか?』
●(相談者)『すべての業種が対象です。』
成功確率の低い創業になりそうです。
成功確率を高くする施策が必要です。そのためには
1.サービスを限定するべきです。
○(私)『教育と言うテーマは広いですが、教育の中では何が得意ですか?』
●(相談者)『特に限定したくありません。教育全般に自信があります。』
※テーマ・分野の絞り込みが必要です。
2.営業対象を限定するべきです。
○(私)『営業対象はどんな先を想定していますか?』
●(相談者)『すべての業種が対象です。』
※営業対象の絞り込みが必要です。
3.空中戦の営業に打って出る前に、地上戦で勝負してください。
○(私)『前職ルートでの受注は期待できますか?』
●(相談者)『前職のルートは使いたくないので、自前(WEB)で受注します。』
※まずは、前職ルートをうまく活用した営業、縁故の営業から始めるべきです。
4.投資のバランスに注意してください。
○(私)『WEB開発もWEBプロモーションも悪くありませんが、資本金200万円の会社が、このタイミングで300万円(内200万円は創業補助金狙い)の投資を行いますか?確信はありますか?』
●(相談者)『そうかもしれません。』
※創業補助金ありきではなく、本当に必要なWEBを立ち上げて、最小限のプロモーションから始めることになりました。
事業計画書を作り直してもらっています。
- 教育分野の中の、本当に強いテーマに絞って、商品化してもらいます。
- 上記のテーマに合いそうな営業先に絞り込んだリストをまず100社探してもらいます。
- 縁故先企業を、30社探してもらいます。
- 1.のテーマで、2を対象にしたWEBを低コストで開発します。
同時に足で受注に走ってもらいます。対象を限定したDM等も検討してもらいます。
創業補助金の申請は、一旦見送りました。創業融資は、可能な限り上限を狙います。
新しい指針の事業計画でも、数値計画は当初と同程度狙えます。
足元から地道に攻めることは、決して遠回りではありません。
むしろ近道です。
また、創業融資や(創業補助金)申請時には、新しい指針の方がはるかに高い評価を得られます。
『大きくなるためには、大きなマーケットを幅広い商品・ サービスで攻めることが良い』と勘違いしている人は少なくありません。
これは、明らかな間違えです。
○『大きくなりたいなら、敢えて絞り込んだマーケットを特化した商品・サービスで攻めるべき』と理解してください。
貴社は大丈夫ですか?再度確認してください。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 一般社団法人銀行融資プランナー協会代表理事)