◆貴社の試算表のポリシーは?…税務の目線、財務の目線、経営の目線?
先日資金調達相談で来所されたお客様の事例です。
会社を設立して10か月が経過した企業様ですが、試算表を見せていただいたところ、資本金300万円がバランスシートから抜けています。他にもおかしな点がいくつかあり、明らかに不完全な試算表でした。
話をお聞きすると、創業当時からお世話になっている顧問税理士の先生に会計資料をお渡しして、試算表の作成をお願いしているようです。このような試算表が出てきた原因がどこにあるのか分かりませんが、融資申し込み資料として、このような試算表を提出するのは本当に危険です。なぜ、このような事が起きてしまうのでしょうか。
貴社の試算表のポリシーは?
決算書を作成する主な目的は次の3つです。
- 税務の目線:税金の計算をするため
- 財務の目線:銀行や株主など第三者に経営状況を伝えるため
- 経営の目線:自身が経営状況を知るため
試算表を作成する主な目的は次の3つです。
- 税務の目線:決算作業をスムーズに行うため
- 財務の目線:銀行や株主など第三者に経営状況を伝えるため
- 経営の目線:自身が経営状況を知るため
財務や経営の目線で考えると、試算表は毎月の正しい利益が分かるものでなければ意味がありません。しかし、税務の目線で考えると、税金は決算日の利益が分かれば計算できますので、必ずしも毎月の利益を知ることが重要ではありません。貴社が税理士事務所に依頼している業務の内容が、「決算書の作成と申告業務」だけなら、試算表が毎月作成されないのは当然ですし、仮に作成されたとして、それが財務目線では不完全なものであっても文句は言えません。貴社が依頼しているのは、年に1回の税金の計算であって、毎月の正しい利益を計算することではないからです。
「銀行からお金を借りるつもりは全くない。」「小規模の売上なので損益状況は頭の中で把握できている。」という経営者様にとっては、財務や経営目線の試算表はあまり必要ではないかもしれません。年に1度、税務目線の決算書を作成するだけで十分です。しかし、「金融機関の協力を得て会社を成長させたい。」とお考えの経営者様は、財務目線の試算表が絶対に必要です。
不完全な試算表を提出して融資を断られる前に、貴社の試算表がどの目線で作成されているのか、今一度お確かめください。