vol.594【経営コラム】スタートアップ企業の破綻原因!
…創業時の罠と鍵!
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
スタートアップの成功と失敗は、多くの要因によって決まりますが、
■1.プレマチュアスケーリング(Premature Scaling)と
■2.PMF(Product-Market Fit)
は特に重要な概念として取り上げられます。
以下に、これらの言葉を使って、スタートアップが破綻する主要な理由を解説します。
■1.プレマチュアスケーリング(Premature Scaling)
●創業時の罠!
プレマチュアスケーリングとは、スタートアップが市場やビジネスモデルの適合性をしっかりと確立する前に、急激に成長を追求し事業を拡大することを指します。
- 人員の急増
初期段階での急激な人員の増加は、コミュニケーションの混乱や経費の増大を引き起こす可能性があります。新しい従業員の教育やマネジメントに必要なリソースが増加し、初期段階でのミッションやビジョンの共有が難しくなることもあります。 - 過剰なマーケティング投資
確固たる顧客基盤を築く前に大きなマーケティング投資をすることは、ROI(投資対効果)が低く、資金を無駄に消費する結果となることが多いです。 - オペレーションの拡大
適切なデマンドフォーキャストなしにインフラや設備を大きくすることは、固定費の急増というリスクを伴います。
これらのプレマチュアスケーリングの結果、企業は過度なコストやオペレーションの複雑さに直面し、焦点を失いやすくなります。スタートアップ企業が破綻する要因の過半はこれです。
■2.PMF(Product-Market Fit)
●創業時の鍵!
PMFは、製品やサービスが市場の実際のニーズにしっかりと適合している状態を指します。
- PMF未達成のリスク
PMFを達成していない状態でビジネスを拡大すると、市場の真のニーズを満たすことができず、継続的な顧客の獲得やリテンションが困難になります。 - 顧客のフィードバックの無視
PMFを追求する過程では、顧客のフィードバックを収集し、製品やサービスの改善に取り組むことが非常に重要です。しかし、このフィードバックを無視すると、市場ニーズとの乖離が生じる可能性が高まります。 - 市場のサイズと潜在性の見誤り
PMFを追求する中で、対象となる市場のサイズや潜在的な成長性を適切に評価することが必要です。過小評価や過大評価は、戦略の誤りに繋がるリスクがあります。
総じて、プレマチュアスケーリングはスタートアップが急速に拡大する際の罠となり得る一方、PMFはスタートアップの製品やサービスが市場の実際のニーズに適合しているかを評価するための鍵となります。これらの概念を適切に理解し、それに基づいて行動することで、スタートアップは健全な成長を追求し、破綻のリスクを軽減することができます。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)