vol.575【お役立ち情報】業務改善助成金の制度拡充について

…対象事業場が拡充され申請が増えそうです。

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
社会保険労務士 今西章

業務改善助成金は、これまで事業場内の最低賃金と地域別最低賃金の差が30円以内の中小企業・小規模事業者が対象でしたが、制度が拡充されて賃金の差が50円以内の中小企業・小規模事業者が対象となります。
また、賃金引上げ計画の事前提出が見直されて、事業場規模が50人未満の場合は令和5年4月1日から12月31日までに30円以上の賃金引上げを実施していれば、賃金引上げ計画の提出は不要となりました。
申請期限は令和6年1月31日ですが、この度の制度拡充により申請が増えて、予算の関係で期限前に募集を終了する場合がありそうです。早めにご検討ください。

概要をみておきましょう。

■ 対象事業場【拡充】

以下の中小企業・小規模事業者の事業場が対象となります。
(1)事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差が50円以内
(2)解雇、賃金引き下げ等の事由がないこと

■ 助成率および助成上限額

1.助成率【見直し】

申請する事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金の区分が見直されて、以下のようになります。
※(  )内は生産性要件を満たす場合の助成率です。

  • 900円未満の場合:9/10
  • 900円以上950円未満の場合:4/5(9/10)
  • 950円以上の場合:3/4(4/5)

2.助成上限額【変更なし】

事業場内最低賃金の引き上げ額により30円、45円、60円、90円のコースがあり、コース毎に賃金を引き上げる労働者数によって30万円から600万円の上限額となります。
◇60円コースの場合の助成上限額
 ※(  )内は事業場規模が30人未満の場合の金額です。

  • 賃金引上げ人数が1人の場合:60万円(110万円)
  • 2人から3人の場合:90万円(160万円)
  • 4人から6人の場合:150万円(190万円)
  • 7人以上の場合:230万円
  • 10人以上の場合:300万円(特例事業者が対象)

※以下のいずれかに該当する事業者が特例事業者となります。
(1)申請事業場の事業場内最低賃金が920円未満の事業者
(2)新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高等の直近3か月間の月平均値が、前年、前々年又は3年前同期に比べて15%以上減少している事業者
(3)原材料費の高騰などの外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率が、前年同期に比べて3%ポイント以上低下している事業者

■ 対象となる設備等【変更なし】

生産性向上に資する機械設備、POSレジシステムの導入等の他、人材育成・教育訓練費や経営コンサルティング経費が対象となります。
※上記、特例事業者の要件の(2)、(3)に該当する場合は、以下の経費も対象となります。

  • 定員7人以上又は車両本体価格200万円以下の乗用自動車
  • 貨物自動車
  • パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入
  • 生産性向上等に資する設備投資等に関連する経費(広告宣伝費、事務室等の改築費、事務機器や什器備品の購入費など)

詳しくは厚生労働省のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今西章(社労士 銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)