vol.439【経営コラム】事業計画書の作成手順!
【規模拡大を目指す計画書】ではなく【企業価値を向上させる計画書】を!
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
前回号の続き…
「人間には思いを実現する能力が備わっている。」稲盛和夫先生はおっしゃっておられます。とするならば、経営者は何を思うべきなのでしょうか?それは会社の未来・行く末です。うまく行く絵を描いて、それを目指しましょう。
これが事業計画書です。
さらに、今から作る事業計画書は、【規模拡大を目指す計画書】ではなく、【企業価値を向上させる計画書】にしてください。
■【企業価値を向上させる計画書】作成の手順…
ステップ1:社長の考えをまとめてください。イメージで構いません。
以下のような内容を紙に書いてください。社長自身の言葉にしてください。現時点、3年後、N年後を横軸に、2~12までを縦軸にとって、表に仕上げてください。大切なことは、社長が自分で作ることです。走り書きでいいので書き込んでください。
- 現時点・3年後・N年後を想定して、
- 売上高推移…過度な売上至上主義に陥らず!
- 営業利益額推移…営業利益は10%以上を必達!
- キャッシュフロー(現預金)推移…資金を潤沢に維持して!
- 現商品・サービスの売上額推移
- 新商品・新サービスの開発イメージ、売上額推移…開発費を継続的に投入して!
- 商品・サービスの内外製比率、固定費と変動費の比率…固定費比率を下げて!
- 現販路の売上額推移
- 新販路の開発イメージと、売上高推移…開発費を継続的に投入して!
- 新規事業の開発への投資とTODO、その売上の将来の推移…胆力を持って求め続けて!
- 社員数・外注・社員給与の推移…外注比率を上げながら!
- 社長の収入の推移…豊かに生きる!
- 会社の外形イメージ、どんな会社のするのか…社長の言葉で表現する!
●また、規模の拡大ではなく企業価値の向上を目指す観点から、守って欲しい項目があります。
◎過度な売上至上主義に陥らないこと!
◎営業利益は10%以上を必達すること!
◎資金を潤沢に維持すること!
◎開発費を継続的に投入して新商品・新サービスを開発すること!
◎固定費比率を下げる、外注比率(変動比比率)を上げること!
◎新規事業は長期目線で胆力を持って求めること、投資を続けること!
◎社長自身も豊かに生きること!
1
ステップ2:社長のイメージを数値計画に落とし込みます。
ここからは部下や外部のブレーンの力も借りてください。
- 社長がイメージした2~12を、現時点から3年後・N年後までの数値計画に落とし込みます。この過程で、論理矛盾がたくさん生まれます。その論理矛盾を解決するための施策を考える、これが経営戦略の立案です。
- 新商品や、特に新規事業はすぐには生まれません。これらに対しては、創造し仕上げることが目標です。それでいいのです。それらの占める売上高や利益は一旦Xとでも表記してください。
2
ステップ3:完成したら、従業員にも教えてあげてください。
従業員は、会社のことをほとんど理解できていません。事業計画書は、従業員に社長の考えや会社の未来像を知らしめることもその大切な目的です。
3
事業計画書を作って、又は、作り直してみませんか。
今から作る事業計画書は、【規模拡大を目指す計画書】ではなく、【企業価値を向上させる計画書】にしてください。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 銀行融資プランナー協会代表理事)