vol.263【実践コラム】商工中金について

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広


…資金調達先の選択肢のひとつに入れてはいかがでしょうか

中小企業の一般的な資金調達先は、日本政策金融公庫、銀行、信金信組が圧倒的に多く、選択肢に商工中金を入れておられる方は少ないように感じます。
「名前は聞いたことがあるけれど、何となく特殊なイメージがあるので足が向かない。」というのが実際のところでしょうが、資金調達先のひとつとして選択肢に入れると資金調達の幅も広がります。

商工中金は、政府系の金融機関で正式名称を商工組合中央金庫といいます。政府と民間団体が共同で出資しているため、日本政策金融公庫に比べると民間の色は濃くなりますが、日本政策金融公庫と同様に中小企業への融資を行っています。

商工中金のホームページを見ると、融資の対象者は、「商工中金の株主になっている中小企業団体(商工中金株主団体)とその構成員の皆さま」となっておりますが、融資を受けるタイミングで構成員になれば問題ありませんので、すべての事業者が対象です。

融資業務しか行っていない日本政策金融公庫に対して、商工中金は預金業務も行っていますので、融資の種類も、他の民間金融機関と同様、証書貸付だけでなく手形割引等にも対応しています。

また、政府系金融機関として、国の施策と連携した融資制度も取り扱っています。残念ながら、今回は制度の不正利用が話題になってしまいましたが、災害復旧や海外展開など、国が力を入れている分野に対応する制度融資は、民間金融機関にはない融資商品です。

他には、全日本トラック協会や日本自動車整備商工組合連合会等の業界団体会員に対する制度融資を取り扱っている点も特徴のひとつです。

馴染みの薄い金融機関ではありますが、平成29年3月時点で、全国に100店舗ございます。資金調達先のひとつとして、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)