vol.236【お役立ち情報】生産性向上の取組みについて
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
社会保険労務士 今西章
…生産性の向上により助成金額等の優遇措置が受けられます
今後、労働力人口の減少が見込まれる中で経済成長を図っていくためには、個々の労働者が生み出す付加価値(生産性)を高めていくことが不可欠です。
国も、企業における生産性向上の取組を支援する施策の1つとして、企業が生産性を向上させた場合に、労働関係助成金の助成金額又は助成率を割増する制度の適用を推進しています。
平成28年度には「キャリアアップ助成金」、「 受入れ人材育成支援奨励金」、「業務改善助成金」についてこの制度が適用されましたが、平成29年度には「キャリア形成促進助成金」においても制度の適用が予定されています。
労働関係助成金における「生産性向上」の要件等について、概要をみておきましょう。
■生産性要件
労働関係助成金においては、助成金を申請する事業所が、次の要件を満たしている場合に、助成額や助成率が割増となります。
(1)助成金の支給申請等を行う直近の会計年度における「生産性」が、3年前に比べて6%以上伸びていること。
※生産性の伸び率が6%を満たしていない場合でも、各助成金が別に定める要件に合致する場合には「生産性要件」を満たすものとして扱われることもあります。
(2)「生産性要件」の算定の対象期間中に、事業主都合による離職者がいないこと。
■計算方法
「生産性」は、(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃貸料+租税公課)÷雇用保険被保険者数で計算します。
具体的には、厚生労働省が作成した「生産性要件算定シート」を利用して、損益計算書や総勘定元帳から、該当する勘定科目の金額を転記することで算定できます。
「生産性要件算定シート」はこちらからご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/kyoutuu02_3.pdf
■その他
生産性の向上を図るために、従業員の職業能力開発や働き方改革、業務の効率化を高める設備の導入等に具体的に取り組むことも必要になります。
「生産性向上」は労働関係助成金だけでなく、税制優遇措置や補助金の要件においても重要なキーワードになっています。
それぞれの制度の利用にあたって有効にご活用ください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今西章(社労士 銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)