vol.171【お役立ち情報】パート社員の賃上げ等を支援する助成金について
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
社会保険労務士 今西章
…パート社員の賃上げをお考えの方は4月以降がいいかも知れません
先日、政府の経済財政諮問会議において、パート社員が社会保険料の負担を気にせず、より長い時間働けるようにすることを目的に、平成28年度から企業向けの助成金を新設する案が示されました。
現行の制度では、たとえばパートで働く主婦は、年収が130万円以上になると夫の厚生年金や健康保険から外れ、自ら公的年金・健康保険に加入して保険料を支払う必要があるため、働く時間を増やしても手取り額が逆に減るケースがあります。このため自主的に勤務時間を調整し、年収を130万円未満に抑える人が多いとされています。
この「130万円の壁」による勤務時間調整を防ぎ、今後の社会保険加入拡大を円滑に進める観点から、パート社員の賃金の引上げや、本人の希望を踏まえて働く時間を延ばすことを通じて人材確保を図る意欲的な事業主に対して、その取組への支援を行おうとするものです。
平成28年度から平成31年度までの暫定措置として考えられています。
支援(案)の概要をみておきましょう。
■賃金の引上げを行う事業主への支援
(1)平成28年4月からの措置
賃金テーブルを改定し、パート社員の賃金を2%以上増額させた場合に、
1事業所当たりの人数と対象範囲に応じて5万円から300万円(大企業は3/4程度)を支給。
(2)平成28年10月からの措置
社会保険に加入させるパート社員等について賃金を増額した場合に、
賃上げ率に応じて1人当たり2万円から10万円(大企業は3/4程度)を支給。
■労働時間の延長を行う事業主への支援
(1)平成28年4月からの措置
週の労働時間を5時間以上延長して社会保険に加入させた場合に、
1人当たり20万円(大企業は3/4程度)を支給。
(2)平成28年10月からの措置
賃金の引上げとあわせて処遇改善に積極的に取り組んだ場合に、
労働時間の延長時間に応じて1人当たり4万円から16万円(大企業は3/4程度)を支給。
パート社員の賃上げをお考えの方は、平成28年4月以降の助成金要件を確認してから進められてはいかがでしょうか。
今西章(社労士 銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)