vol.151【実践コラム】原価を5%増やし販売価格を10%上げた場合の利益について
(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広
…10%の価格変動が利益に与える影響をシミュレーションしませんか
どれだけ大きな売上があろうとも利益を残せない企業は存続できない・・・誰もが分かっている事実です。
しかし、実際の行動はどうでしょうか。
お客様の入りが悪くなると値引き販売を実施し、利益を削ってでも売上を取ろうと試みます。
今日は忙しかった・・・商品がたくさん動いた・・・店内がお客様で賑わっていた・・・
肉体的な疲れはある種の達成感や安心感を与えてくれます。頭では分かっていても、利益より売上を重視してしまう理由かもしれません。
「売上がもたらすまやかしの安心感」に惑わされず、しっかりと利益を出すためには、やはり数字で経営を把握することが最善です。
■ 現在の利益構造
・販売価格は 10,000円
・原価は 5,000円
・固定費按分は 4,500円
・利益は 500円
■ 10%の値下げをした場合
・販売価格を 9,000円に値下げ
・原価は 5,000円のまま
・固定費按分は4,500円のまま
・利益は ▲500円
商品をひとつ販売するたびに500円の損失です。
100個販売したら50,000円の損失です。1,000個販売したら・・・
■ 原価を5%増やし、販売価格を10%上げた場合
・販売価格を 11,000円に見直し
・原価を 5,250円に増加
・固定費按分は 4,500円のまま
・利益は 1,250円
商品をひとつ販売するたびに1,250円の利益です。
100個販売したら125,000円の利益です。1,000個販売したら・・・・
販売価格と利益には密接な関係があります。
9,000円で1,000個販売した場合は▲500,000円、11,000円で販売した場合は+1,250,000円です。
販売価格を決定するのは経営者自身です。1杯350円でコーヒーを提供している喫茶店はなぜ350円なのでしょうか。世の中には同じような味のコーヒーが200円から600円程度まで、さまざまな価格で提供されています。1杯385円に値上げしたら、本当にお客様は離れてしまうのでしょうか。
引き留める方法は無いのでしょうか。
どの価格帯のお店にもそれなりに人が入っていることを考えると、お客様は価格だけでお店を選んではいないようです。値上げに抵抗しているのは、本当はお客様ではなく経営者の心かもしれません。
もし、自社の販売価格を10%上乗せ出来たら利益がどれぐらい変わるかシミュレーションしませんか。
ご希望の方は、本メールマガジン内に記載しておりますE-mailアドレスからお問い合わせください。
尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)