vol.92【実践コラム】小規模事業者が注目されています

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
尾川充広


・・・アンテナを張りましょう!

2014年版中小企業白書によると、全企業数の99.7%を占める385.3万社が中小企業であり、さらに、中小企業の86.7%を占める334.3万社が小規模事業者であると発表されています。小規模事業者とは、製造業であれば従業員20名以下、その他の業種で従業員が5名以下の事業者のことと定義されています。

中小企業庁は、小規模事業者をさらに細かく分類しており、まず小規模事業者を、県内の需要をターゲットとする「地域需要志向型(約81%)」と、全国・海外の需要をターゲットとする「広域需要志向型(約19%)」に分けています。

また、事業ターゲットによる分類の他、組織面の成熟度によっても分類を行っております。
下記5段階のステージで分類をしておりますが、興味深いのは、小規模事業者の95%が、組織化されていない法人1や個人事業者であるという点です。
これまでも、中小企業数が圧倒的に多いことは知られていましたが、今回、中小企業をさらに細分化したことで、我が国を支える事業者の構造と実態がより明確になりました。

小規模事業者における5段階のステージ
・法人3 :経理・営業担当設置
・法人2 :経理担当設置
・法人1 :組織化されていない小規模法人
・個人事業者2 :従業員を雇用
・個人事業者1 :従業員なし又は 家族従業員のみ
※法人1、個人事業者1、2が全体の95%を占める。

このような形で政府が小規模事業者に目を向け始めた訳ですが、他にも新しい考え方を導入しておりますのでご紹介します。

これまで、事業者は、より上のステージを目指すことが大前提とされてきました。
しかし、これまでの「成長発展型」という考え方に加え、組織面で上のステージを目指さずに、同じステージで持続的発展を目指す「維持・充実型」という考え方が新たに加わりました。
このことは、政府の小規模事業者への理解がさらに深まった印象です。

現在、小規模事業者は日本経済の重要な担い手であるという実態を踏まえ、「小規模企業振興基本法案」が国会で議論されております。
これまでの中小企業施策は、「成長発展型」の企業に対するものが主流でしたが、「維持・充実型」の企業に向けた施策も多く盛り込まれているようです。注視しましょう。

尾川充広(銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)