vol.262【経営コラム】経営者の器量と余力の有無が成長限界を決めています
(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司
…事業体は余力がなくなると停滞します。
事業体の成長の壁・成長限界について言及いたします。
あるレベルまで到達すると企業の成長は止まります。何故止まるのか?どこで止まるのか?考えてみましょう。
■総論として…経営者の能力や想いの限界で成長は止まります。
◆経営者の能力の限界で成長は止まります。
660CCの軽自動車と、5,000CCの大型車では、その最高速度に違いがでます。前者は時速150Km?後者は時速280Km?位でしょうか。
限界速度に近い状態でいくら加速を試みても、スピードを上げることはできません。加速する前に、エンジン等のキャパシティーを向上させることが必要です。
経営者固有の器量、この大きさによって、その事業体の成長限界は決まります。
◎経営者は、自身の器量を大きくするための活動を続けなければなりません。より上位の世界に対する知見の習得、師と友作りです。同位以下との交流に明け暮れると、自身の器量を磨くことはできません。居心地の良い同位とのみ群れることが最悪です。
◆経営者の想いが、その成長の限界を決めています。
経営者の「これ位が限界かな?これ位でいいか?」との想いが、その事業体の限界を決めています。願っても必ずしもうまくいきませんが、願わないことは絶対に成就しません。
経営者自身が自らに設定する成長限界が、その事業体のそれを決めています。
◎成長を望むならば、成長に対する願望を持ち、具現化するための情報やスキルの習得に当たらねばなりません。想いの有無・強さは、事の成否に大きな影響をもたらします。
■各論として…余力がない状態でバランスすると成長は止まります。
◆収支トントン、経営者も含めて仕事は多忙、資金余力無し、それでも何とかやって行ける…この状態「繁盛貧乏」(車がフルスロットルで走っている状態)が停滞を招いています。
○社長も忙しく、急ぎでない重要な仕事に充てる時間が取れない状態に陥ると、事業体は成長できません。
○収支がトントンであれば、新しい投資ができず、事業体は成長できません。
○資金余力が無ければ、新しい投資ができず、事業体は成長できません。
◆開発投資ができていない事業体は(近々)停滞します。
開発費は、メーカーに限らずすべての業種に必要な費用です。この開発費が売上対比で5%以下であれば要注意です。新しいことに挑んでいないということです。言い方を変えると、ビジネスモデルの開発・作り込みができていないということです。この開発費に投資できていない事業体は近い将来必ず失速・停滞します。
◎継続的な成長のためには、収益余力と資金余力が必要です。
これらを原資にして、経営者としての時間を確保する、人材を確保する、開発を行うことが必須です。
■停滞から抜け出すためには…余力が必要です。
◇停滞を抜け出すためには次の二つが必要です。
1.経営者の器量・想いの構築、経営者の成長。結果としての器量の余力。
2.次の成長のための資金的・時間的…すべてにおける余力。
すべてがぎりぎりであれば当然成長できません。それでも成長しようとすると前のめりになってつまずきます。成長を仕掛ける前には、余力を持つことが何より重要です。
◇余力を作るためには…
1.経営者として発想を転換してください。
器量を大きくするための生き方・努力、ライフスタイル自体も変えねばならないかもしれません。
2.絞り込んでください。(Simple化)
力以上に広がってしまった事業領域・商品構成…等々を絞り込んでください。分散は、事業体としての力を削ぎ、生産性の悪化の元凶です。すべての余力を奪ってしまいます。
3.値決めを再考してください。(Profitable化)
安売りを止めて、高価格路線への転換を図ってください。価格政策のミスは、資金的余裕をすべて奪ってしまいます。場合によっては思い切った値上げを断行してください。
停滞は余力がないことの証です。さらなる成長のためには余力を取り戻してください。上記の三つに取り組んでください。
※継続的に成長できる事業体は、20%近い営業利益を上げています。この余力が成長の原資になっています。逆に考えると、薄利の状態での成長は破綻の危機を招きます。薄利での拡大は
危険です。
※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。
田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 一般社団法人銀行融資プランナー協会代表理事)