vol.326【経営コラム】経営体が患う5大疾病の3つ目【財務無策症候群】という疾病の正体は…(その3)

(毎週月曜日配信)経営編
GPC-Tax本部会長・一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司


…財務戦略がないために、お金に苦労する経営体に甘んじる病です。

貴社の経営は、本当はもっともっとうまく行くはずです。
貴社の経営にブレーキをかけている何か(疾病)があるはずです。
それらを見つけ出して、このブレーキ(疾病)の治療・予防の方針を学ぶ事ができれば、明日からの経営が激変するはずです。
経営がうまく行かない理由…企業が患う5大疾病について言及いたします。

■病名3:【財務無策症候群】という病は…

創業者~中小企業まで、その過半は財務機能を有していません。
また、間違えた考え方を鵜呑みにしておられる経営者も少なくありません。

○資金調達のための与信力が低いにもかかわらず、資金のダムを作って備えようとしません。
○(日傘しかない)金融機関に、資金が不足した時に融資を受けに(雨傘を借りに)行こうと考えています。
○利益は納税額だけではなく、今後の資金調達力を決めることになる、これを理解せず、目先の過度な節税を目指します。

※借入れ(融資)可能額は、簡易キャッシュフロー(税引き後利益+減価償却費)を基準にその概算が判定されます。
これらの財務無知から来る財務無策は、『お金に苦労する経営』という結果を招くことになります。

■この様に、財務に対する備えが希薄、または、間違えた考えを持っている経営体を『財務無策症候群』と呼びます。

【財務無策症候群】の経営体には、以下のような症状が現れます。
1.金融機関との継続的な関係を築けていない。必要な時のみ頼る。
2.資金繰りに苦労をしても、借入れは少ない方がよいと考えている。
3.資金繰りの余裕が少ない。
4.支払金利に(過度に)敏感である。
5.継続的に資金繰りを管理する仕組みを持ち合わせていない。
6.そもそも『財務』の概念を知らない。

いかがでしょうか?

■『財務無策症候群』という疾病を整理します。

○財務戦略がないために、お金に苦労する経営体に甘んじる病です。

○原因
財務無知、または、財務無策です。

○症状
手持ち資金が極小であっても、資金繰りに苦労しても、とにかく借入れを減らして(行わずに)経営を続けようとします。また、貸し手である金融機関の都合を理解できず、自社の都合、必要な時に必要な金額だけ貸して欲しいとの借り手の都合で行動します。少しでも歯車が狂えば、途端に危機的な状況に陥ってしまいます。早期の治療が必要です。

■『財務無策症候群』への対応は、財務の機能を持つことです。中堅以上の企業には、必ずこの機能があります。

○対策
1.金利を気にせずに『借りられる時に借りられるだけ借りる。』
2.『貸し手の論理』(借り手の論理ではなく)に沿って資金調達を継続する。
3.納税を恐れずに利益をだす。
自己資本の充実と簡易キャッシュフローの最大化を図る。
4.精度の高い6カ月~1年先までの資金繰り計画を持ち続ける。
5.金融機関との継続的な関係を構築する。

■経営体は大きく5つの疾病を患っていると思っています。
その有病率は決して低くありません。

◆病名1:分散症候群 …有病率50%
◆病名2:安売り症候群 …有病率50%
◆病名3:財務無策症候群…有病率70%
◆病名4:前のめり症候群…有病率40%
◆病名5:お人好し症候群…有病率60%

◎これらの疾病に対する処方箋が以下です。

【SP(Simple&Profitable)経営 基本方針】
◆第1条:すべてを単純(Simple)にすること。
◆第2条:高収益(Profitable)な企業作りを目指すこと。
◆第3条:手持ち資金を潤沢(Ample)に維持すること。
◆第4条:変化に対応できる柔軟性(Flexible)のある企業体を維持すること。
◆第5条:経営判断を明確に(Clearly)にすること。

…次回号につづきます。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。

田中英司 (GPC-Tax本部会長・ 一般社団法人銀行融資プランナー協会代表理事)