vol.649【お役立ち情報】事業再構築補助金の事業計画作成について

…事業計画は審査項目も十分考慮して作成してください。

(毎週木曜日配信)財務編
銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー
社会保険労務士 今西 章

事業再構築補助金に限らず、ほとんどの補助金は提出した事業計画の書面審査で採択が決まります。書面審査においては、その補助金の趣旨に沿った審査項目に基づいて事業内容を評価し、評価が高い案件から採択されます。事業再構築補助金の場合は評価の高い上位3割程度の案件が採択されています。
事業計画は審査項目も十分考慮して作成してください。
事業再構築補助金の主な審査項目についてみておきましょう

■補助対象事業としての適格性

(1)補助事業終了後3年から5年で付加価値額を年平均成長率3.0%から4.0%以上の増加等を達成する取組みであるか。

(2)事業再構築指針に沿った取組みであるか。

■新規事業の有望度

(1)補助事業で取り組む新規事業が、自社がアプローチ可能な範囲の中で、継続的に売上・ 利益を確保できるだけの規模を有しているか。また、成長が見込まれる市場か。

(2)補助事業で取り組む新規事業が、自社にとって参入可能な事業であるか。例えば、免許・許認可等の制度的な参入障壁をクリアできるか。

(3)次のような競合分析を実施した上で、顧客ニーズをもとに、競合他社と比較して、自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か。

  • 代替製品・サービスを含め競合は網羅的に調査されているか・比較する競合は適切に取捨選択できているか
  • 顧客が商品やサービスの購入を決める際に重視する要素や判断基準は明らかか
  • 自社が参入して、顧客が商品やサービスの購入を決める際に重視する要素や判断基準を充足できるか
  • 自社の優位性が、容易に模倣可能なものとなっていないか

■事業の実現可能性

(1)事業化に向けて、中長期での補助事業の課題を検証できているか。また、事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。

(2)最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。

(3)補助事業を適切に遂行し得る体制(人材、事務処理能力等)を確保できているか。第三者に過度に依存している事業ではないか。

■公的補助の必要性

(1)川上・川下への経済波及効果が大きい事業や社会的インフラを担う事業、新たな雇用を生み出す事業など、国が補助する積極的な理由がある事業か。

(2)先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。

(3)本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。

(4)国からの補助がなくとも、自社単独で容易に事業を実施できるものではないか。

事業再構築補助金の申請にあたっては、このような審査項目も十分考慮して事業計画を作成してください。

詳しくは、補助金事務局ホームページからご確認ください。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

今西章(社労士 銀行融資プランナー協会 財務アドバイザー)